2009年7月14日付読売新聞の記事です。
読売新聞は、このタイトルと1970年7月14日付け読売夕刊の記事コピーの写真を掲載し、以下の説明をのせています。
この閣議決定を報じた1970年7月15日付の読売新聞によると、それまでも「歴史的にも根拠があり、国際的にも通用している。語感が重量感にあふれていて国名にふさわしい」とする“ニッポン派”と「発音がすなおで簡明。暗い軍国主義のイメージを持つ“ニッポン”より抵抗を感じない」とする“ニホン派”の論争が続いていたが、同日の閣議で「一応の終止符が打たれたかっこう」となった。 (⇒ 全文)
この記事は、「日本を『ニッポン』と呼ぶ『閣議決定』がある」と理解させます。
実は、記事は「意図的な誤報」といえます。
2009年6月の衆議院での質問と答弁で確認されています。
- 衆議院2009年6月19日提出の質問第570号:
- 昭和四十五年(1970年)七月、佐藤栄作内閣は、「日本」の読み方について、政府は『にっぽん』を使う」との閣議決定は現在でも維持されているか?
- 麻生太郎・内閣総理大臣の答弁:
- 「『日本』の読み方については、御指摘のような閣議決定は行っていない」
- 読売新聞は、2009年7月14日付けで、2009年6月19日付けの内閣総理大臣答弁を誤報的に否定した。
読売、NHKともに「黒い意図により報道がなされている」と理解できる結果となっています。
なぜ「黒い」と言えるのか?
「ニッポン」は、1931年対中15年侵略戦争開始後、日本軍国主義が愛用した読み方で、『文藝春秋』『オール讀物』を発行していた菊池寛や、その読者は1930年まで「にほん」を使用していたのです(菊池寛によって1930年10月1日、文藝春秋社から創刊された雑誌「モダン日本」で。 発刊の辞で「にほん」とルビ)
この流れを米国が利用したのが、1952年4月28日のNHKの「君が代」の現在まで続く連日放送の開始や、総合テレビ・コールサインJOAKの「日の丸」、読売の「ニッポン」の「閣議決定」の意図的誤報、さらに「おはようニッポン」のNHKです。
また、「米軍駐留を憲法違反とした」砂川裁判で、最高裁長官と駐日・米大使と密会の結果、最高裁判決でこれをくつがえさせられた実績と伝統をもつ最高裁の一連の「君が代強制」判決に「黒い流れ」としてつながっているのです。
さらに、マイケル・グリーン(Michael Jonathan Green, 1961年- アメリカの政治学者、専門は日本政治、特に日本の安全保障政策。現在はジョージタウン大学外交政策学部准教授、戦略国際問題研究所(CSIS)上級顧問・日本部長)の日本語の常用は、「ニッポン」であることも、黒い流れの上流の見える部分として記録されるべきことです。(朝日ニュースター 2011年6月18日 別刊 朝日新聞「迫る2プラス2 日米懸案事項を説く」)
なお、上記の質問者(前衆議院議員・岩国哲人氏)は、「中国網日本語版(チャイナネット)」のインタビューで、「天皇のシンガポールでの公的発言で23回『にほん』といっている」と証言していますが、それが「ニッポン」の閣議決定ができない理由かも知れません。 歴史の皮肉というべきです。