歴史問題
竹島(独島)問題――植民地支配への真剣な反省に立ってこそ
韓国、北朝鮮との間には、竹島の問題がある
志井:
日本が竹島を編入したのは1905年の1月。
日本共産党は、日本の領有には歴史的根拠があるという見解を1977年に出している。
ただその見解の中でものべたし、私が最初に韓国を訪問した時(2006年)にも韓国側に話したが、1905年の1月というのは、第一次日韓協約(1904年)を結び、韓国から事実上外交権を奪ったあと。
外交権が事実上ないところで編入がおこなわれたので、韓国が異議申し立てすることができない状況にあったことも事実。
この問題は、植民地支配への反省という問題を根本に据えて、その上で冷静な共同の歴史研究をやって解決をはかっていくというのが一番いいのではないか。
訪韓のさいに、ハンナラ党の金ヒョンオ(キム・ヒョンオ)院内代表(のちに国会議長)との会談でも、わが党の1977年の見解を率直に伝えつつ、いまのべた解決方法をのべると、「とてもいい話をありがとうございます」と打ち解けた関係になった。
実は、プノンペンでのICAPPの時も金ヒョンオさんと再会した。「4年前に竹島(独島)の話をしましたね」といったら、「とてもいい話し合いでした」という返答で、喜びの再会になった。
この問題で、日本政府と韓国政府は、1965年の日韓基本条約で国交を回復する過程で、竹島(独島)の領有について往復書簡による論争をおこなっている。しかしその往復書簡を見ても、植民地支配の反省はまったくない。日韓基本条約締結の交渉のさいにも反省はない。
「韓国併合条約」(1910年)そのものについても、韓国側は軍事的強圧をもって強制された不法・不当なもので無効だと主張。 まさにその通りなのだが、日本側は「法的には合法で有効だった」。しかも、交渉過程では、「植民地支配というけれども、インフラ整備などもやり、良いこともしたではないか」と日本側代表が言って、大問題になり、交渉が中断することもあったぐらい。
植民地支配に対するまともな反省抜きに日韓基本条約を結んだ。
いまに至るも、日本政府は「韓国併合条約」について「合法で有効だった」という立場を変えていない。
韓国では、日本帝国主義による侵略の最初が竹島(独島)だったと、国民のほとんどが思っている。
その時に、歴史の過ちへの反省ぬきに「竹島は日本の領土だ」といっても、冷静な話し合いのとば口にも行かない。
植民地支配への真剣な反省を土台にしてこそ、この問題の冷静な話し合いの解決の道が開ける。
そのことは、訪韓して、韓国各界のみなさんとこの問題を話し合った実感でもある。