【ワシントン=岩田仲弘】米アリゾナ州の銃乱射事件を受け、オバマ政権批判の筆頭格である共和党のサラ・ペイリン前アラスカ州知事(46)や保守派の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」に対する批判が強まっている。
ペイリン氏は、銃撃を受けたガブリエル・ギフォーズ下院議員(40)を「医療保険改革法に賛成した二十人の民主党現職」の一人として落選させる“標的”に選び、自らのウェブサイトに掲載した。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ギフォーズ氏が、「銃の照準を描けば(実際に銃撃されるような)結果を招くことを認識すべきだ」と批判していたことから、リベラル層を中心にペイリン氏の責任を追及し、謝罪を求める声が急速に広がっている。
ペイリン氏は「退くな。弾をこめ直せ」と保守派の決起を促していたこともあり、劣勢に立たされている。
共和党は事件を受け、下院で十二日に予定していた医療保険法の廃止法案の採決を先送りするなど自ら“政治休戦”を訴えていただけに、ペイリン氏を巻き込んだ騒動に困惑するとともに、「民主党リベラル層が事件を政治利用している」と批判を強めつつある。