証拠がない場合、強要した自白を根拠にした犯人作りが、最高裁をまきこんでまでおこなわれることがあります。 最近では、「菅谷事件」「布川事件」などがそうです。
古今東西、証拠がない場合に拷問によって自白を強要することがおこなわれています。
自白しない場合は、殺してしまえというケースもあります。
1933年、治安維持法により作家・小林多喜二は逮捕されたその日(2月20日)のうちに築地署で拷問により虐殺されました。 かれの罪は、侵略戦争に反対したことと、国民主権を主張した日本共産党員であったことです。
1942年、総合雑誌『改造』(8-9月号)の記事が共産主義的で、「政府のアジア政策を批判するもの」などとして問題となり、『改造』は発売頒布禁止処分にされ、著者が逮捕された事件がありました。
(横浜事件の発端 Wikipedia)
この捜査中に、同著者と『改造』や『中央公論』の編集者などが、日本共産党再結成の謀議をおこなっていたとされましたが、実際は出版記念の宴会の写真であったとされています。(「泊事件」 同上)
1943年に改造社と中央公論社をはじめ、朝日新聞社、岩波書店、満鉄調査部などに所属する関係者約60人が次々に治安維持法違反容疑で検挙され、神奈川 県警特別高等警察(特高)は被疑者を革や竹刀で殴打して失神すると気付けにバケツの水をかけるなど激しい拷問をおこない、4人が獄死しました(神奈川県警 察の管轄事件であったために横浜事件と呼ばれる。 同上)。 『改造』『中央公論』も廃刊となりました。
これらの事件は、いずれも強要した自白を証拠としていました。 2009年12月現在、国は無実の被害者、被害者の遺家族、国民に対して謝罪をおこなっていません。 権力による犯罪の典型です。
侵略戦争や、不正義をおこなう政治のもとでは、国民を脅し、押さえつけ、あるいはだますために権力の犯罪が横行します。 権力の報道機関利用による世論操作もそのひとつです。
教訓は、以下のとおりです。
① 自白を証拠としてはならないこと
② 取調べの100%の可視化・証拠の100%の開示が必要なこと
③ 報道が、当局の発表やリークによる世論誘導の道具となっている状態を改善すること
④ 同時に、NHKなどの放送を含む報道が、政府・多数党に偏重し、少数党・少数意見を軽視・無視する放送法違反に無神経になっていること
テレビなどの報道が、「政治的公平」を定めた放送法を守ることが、いかに重要であるかがわかります。