衆院選公示を前に党首討論会(NHKニュースより)
8月17日 19時18分
18日の衆議院選挙の公示を前に、日本記者クラブ主催の各党の党首による討論会が開かれ、麻生総理大臣が、景気対策を最優先し、景気を回復させると明言したのに対し、民主党の鳩山代表は「官僚任せの政治に終止符を打つ」と述べ、政権交代を訴えました。
(自民党)討論会の冒頭、自民党総裁の麻生総理大臣は「最も訴えたいのは責任力であり、自民党には一貫性のある公約と、それを実行する力がある。17日発表された経済成長率は1年3か月ぶりにプラスになったが、国民に景気回復を肌で実感していただくまでには至っておらず、いまだ道半ばだ。景気最優先であり、日本の経済を必ず回復させる。戦略なきバラマキでは経済は成長しない」と述べました。
(民主党)民主党の鳩山代表は「官僚に丸投げした政治が、税金をむだづかいする社会にしてしまった。このあと待ち受けているのは、借金地獄と消費税の増税だというのが自民党長期政権の総括であり、責任ある政治が聞いてあきれる。民主党は、官僚任せの政治に終止符を打ち、国民といっしょに政策をつくっていくことを約束する。政権交代の力を与えてもらいたい」と述べました。
(公明党)公明党の太田代表は「今回の選挙は、政策の中身と、一貫性、整合性などが問われており、公明党はぶれない政策とやり抜く力を持っていると自負している。公明党は、生活を守り抜くため、医療や介護、子育て支援などに全力をあげていく。また、もう一度クリーンな政治、清潔政治の実現に全力をあげたい」と述べました。
(共産党)共産党の志位委員長は「自公政権を退場させ、その後にどういう新しい政治をつくるかが問われている。共産党は、ルールある経済社会を実現するとともに、憲法9条を生かした平和外交に取り組んでいく。財界中心、日米軍事同盟中心の政治を正し、国民が主人公の日本をつくり上げたい」と述べました。
(社民党)社民党の福島党首は「地域のつながりの切り捨てにつながった小泉構造改革に、社民党は最初から反対してきた。労働者派遣法の抜本改正や月額で最低8万円を保障する年金制度をつくることなどによって、仕事、暮らし、地域の再建を図っていく。命を大切にする政治が実を結ぶよう国民の力をいただきたい」と述べました。
(国民新党)国民新党の綿貫代表は「4年前の小泉内閣は『郵政民営化こそ、あらゆる改革の本丸だ』として選挙を行ったが、その結果、いかなる社会がつくられたのか検証しなければならない。国民は、今の政治に不満を持っており、郵政民営化の見直しこそ政治を手直しする原点だ」と述べました。
(麻生総理大臣)続いて行われた党首どうしの討論では、麻生総理大臣と鳩山代表に質問が集中しました。この中で、麻生総理大臣は「民主党は、子ども手当に必要な5兆円の財源として、配偶者控除や扶養控除の廃止などをあげているが、子どものいない家庭には増税になるということか」とただしました。
(鳩山代表)これに対し、鳩山代表は「65歳未満で子どもがいない、専業主婦の家庭では、増税になると予想される。だいたい全世帯の4%程度ではないかと試算している。社会で、子どもをしっかりと養っていくシステムをつくるため、一部で痛みを伴うところが出てくるが、ていねいに理解を求めていきたい」と答えました。鳩山代表は「麻生総理大臣は『景気は回復の兆しがあり、来年度末までに経済成長率が名目で2%に回復すれば、消費税を引き上げる』と公約したが、ほんとうに引き上げるのか」とただしました。
これに対し、麻生総理大臣は「国民が肌で景気回復を実感するまでには至っておらず、引き続き景気対策を最優先で行わなければならない。数字と実感の双方に、国民の間に景気回復が浸透する段階までどうやってするかが、今、最大の問題だ」と述べました。太田代表は、鳩山代表に対し、「公明党は、政権公約で、秘書が虚偽記載などの法律違反をした場合には監督責任のある国会議員にも政界を退場してもらう法改正を行うことを掲げているが、民主党は賛成するか」と質問しました。
これに対し、鳩山代表は「政治をクリーンにすることはたいへんよい話なので、基本的には前向きに対処すべきではないかと思う」と答えました。
志位委員長は「アメリカとの自由貿易協定が締結されれば、日本の農業、特にコメは壊滅的な打撃を受ける。農業やコメを除外した交渉はあり得ず、交渉に入るべきでない」とただしました。
これに対し、鳩山代表は「今、コメを開放したら、影響が大きいのは、よくわかっている。すべての自由貿易協定交渉で、コメや麦などの主要作物は除外されており、国益を守りながら経済関係を強化していくのは、あたりまえだ」と述べました。
福島党首が鳩山代表に対し、「非核3原則を堅持し、担保していくためには法制化が必要だ」と求めたのに対し、鳩山代表は「非核3原則は今後も堅持するし、国是であるほうが強い影響力を持つと思っていたが、法制化も検討していきたい」と答えました。
綿貫代表は麻生総理大臣に対し、「小泉内閣での郵政民営化を柱とする、いろいろな改革をどのように評価しているか」とただしました。これに対し、麻生総理大臣は「通信分野などで規制緩和が効果をあげたことは否めないが、規制緩和が行き過ぎた結果、かなりの部分で地域間や企業間で格差が出た」と述べました。